セルフライナーノーツ「歌曲作品集[小園]」M-5,M-6,etc

M-5 「靄」

もや、と読むようです。僕もこの曲名を思いつくまでは知らない漢字でし
たが見た目が霞(かすみ)とか霧(きり)に似てるのでよく間違われます。

この曲も作曲は2013年に行われていてしばらく寝かせていたものです。
1度メジャーコードから4度マイナーへ転調する雰囲気は僕は好きでよく
使っています。
この曲もデモがあるので良かったら聴いてみてください。
(歌が下手なのはご容赦くださいませ…)

https://soundcloud.com/smallgardenstudio-1/moya_demo

不遜ついでですが、この曲で表現したかった事がいくつかあるので紹介させ
てください。
•失恋を綺麗な想い出に。
•前半と後半での雰囲気の違い。
•メジャー音楽には無い渋さ。(これは全曲にあるかも…)
•時系列の表現。(夜から夜明けへ)

この曲のサビに当たる部分、後半の「悲しみが踊りだす~」という歌詞が
自分では気に入っていまして。心情としてはこの歌に出てくる人物の心中を
察する事(作者がこういうのもおかしいかもしれないが)が出来ます。
夜の海岸、地平線、星明かり、灯台。遠くの方に街灯り…、どれも僕の好き
なシチュエーションなのですが実際はこの楽曲のようにロマンチックな感じ
とは違う事が多いので(夜の海は怖い!)、綺麗な部分だけ紡いでみました。

この曲はアルバムの中では一番コーラスが多く、トラック数がトータルで40
から50位あったと思います。ミックスにとても時間がかかったのを思い出し
ました。ともあれ綺麗に仕上がったかなと思っています。

また懇意にして頂いております「ディスクブルーベリー」というレコード
ショップでは2枚のアルバムの同時購入で付いてくるCDRに全曲のカラオケ
が入っています。メロディを口ずさんだりオケに隠れた楽器などが聴けると
思いますのでご興味ある方は是非お手に取ってみてください。
(ちなみにどちらか1枚お持ちの場合はその旨をお店に伝えてもらえますと
もう1枚の購入のみでもCDRがもらえると思います。)
http://blue-very.com/


M-6 [間奏] その2
ピアノだけをぽろぽろと弾いた1分も無いものです。
実はこの曲はいくつか作曲した中の断片でして、のちに2枚目のアルバムの
「湖畔」という曲のイントロに使われる事になりました。元々は違う曲の
イントロになっていたのですがその曲では後半の展開が難しすぎてうまく
歌詞をつけられそうに無かったので分離させました。実は結構気がついて
いない人が多くて、それはそれで嬉しいような、そうでもないようなという
気持ちでしたが音楽雑誌VANDAのウチタカヒデさんにレビューして頂いた
時にはこの事がしっかりと記載されており脱帽いたしました。
スモールガーデン全編に渡ってとても鋭く、かつ多彩なバリエーションにて
論評を頂きました。是非お読み頂けましたら嬉しいです。

http://www.webvanda.com/2017/11/small-garden-out-of-music-singlesmall.html

そして、この曲のピアノもソフトウェア音源「Ivory2」を使いました。
マイクの感度や倍音、ペダルの解放音などをエディットしましたので
よりピアノの感じが出ていると思います。ただ鍵盤に当たる指の音までは
この音源では再現しづらく、後述する音源「Pianoteq」にその座を譲る
ことになります。


〜〜〜制作環境のご紹介〜〜〜
と銘打ちましてご紹介させて頂きます。前回のクロックジェネレーターは
いきなりマニアックでしたが今回はスピーカーと、中核を成すD.A.W.の
ご紹介です。

うちのモニタースピーカーは「SONY SMS-3」です。
今ではグーグルで検索してもほとんど情報が出てこないレアな機種です。
その昔、ヤマハのテンモニ(NS-10M)が流行り始めた後でソニーが
テンモニと同じ密閉型の2wayタイプのモニターを出したのがこのSMS-3
です。ネットで検索して頂くとわかりますがウーファーの黒色を除いて
ほとんど見た目が一緒です。(笑)
実際はテンモニに比べるとウーファーが大きく(20cm)、低域〜中低域
がよく聴こえ、かつ高音域は耳に痛くないのでまさに理想的なモニタリン
グが出来ます。密閉型の特徴としては低音が出過ぎずに中〜高音とのバラ
ンスが優れていると感じる所です。制作部屋は6畳弱なので若干大きめの
サイズではあるのですがやはり出音の良さには変えられずにもう10年以上
使っています。パッシブなのでアンプに繋いでいます。(アンプは安い
ノーブランドのデジタルアンプ)
恐ろしい事に20年前に買った30万円もしたラックスマンのL-507という
アンプよりも数年前買った2万円のデジタルアンプの方が音が遥かに良い
です。(飾らない音なので冷たい感じやしらけた部分もありますがモニタ
リングにはちょうど良いです。)
月並みですが技術の進歩は凄いです…。

D.A.W.はmotuの「Digital Performer 8」
デジタルパフォーマー(以下デジパフォ)は作曲を始めた頃からの付き
合いなのでもう20年近く使っています。使っている理由は昔からマック
が好きだった事、在籍していたセイムクリエイティブという制作会社で
の標準仕様になっていたということです。デジパフォを教えてくれた
先輩方々はなぜかみんなマウスを左手で使っています。理由は右手を
常にテンキーの上に置いているからです。これはMIDIのステップ打ち
や鍵盤を弾いた後でもエディット画面ですぐに数値を打ち変える事が
出来るからです。これには僕も最初は戸惑いましたがすぐに覚え、今で
もマウスは左手、テンキーを右手でバシバシはじいています。(なので
たまに左利きと間違えられることシバシバ…)

デジパフォは長年ハードウェアの操作に特化(依存?)していた感が
あるのでソフトウェア音源の参入に遅れた経緯がありましたが現在は
各社に横並んだ感じなので、昔からの視認性、操作性の良さを考える
とシーケンスソフトとしてはまだ頭1つは出ていると思っています。
音楽を奏でるという事よりも譜面やデータの視覚的認知度が高いと
いう所ではデジパフォが一番良いです。昨今の簡単に音楽を作ってみた
いというニーズには全く一致する所がない超硬派、素晴らしきクリエイ
ティブツールです。