セルフライナーノーツ「out of music」M-1,2

スモールガーデン2ndリリース
ミニアルバム「out of music」
セルフライナーノーツ

アルバムタイトルである「out of music」に込めた意味合い、out of~とは
~の外側、流行でないなどの意味があり、つまり音楽の外側というのはこの
アルバムの楽曲は音楽でありながら音楽ではないものを表現したかったので
す。同時に流行り廃りに関係の無い普遍的感動や日常性を表したくてこの
「out of music」というタイトルを付けました。
しかし元々音楽とはその音の羅列によって「何か」を表現しているものが
圧倒的に多く、純粋にその響きや技術を批判する純音楽でさえもその様式美を
表してさえいます。僕はどちらかといえば後者に趣をおいていますが、それで
も今作の様にポピュラーテイストな割合を増やすとそれは「何か」を表現して
いくことに繋がり、ひいてはそれこそがポップス(大衆性)たる所以なのかも
しれません。

このミニアルバムは元々は今年の7月に行ったライブの為に作ったもので、正
式にはセカンドアルバムというよりもファーストのスピンオフのような意味
合いをも込めています。
ボーカルのyukkyさんにライブ出演を想定した時に既存の楽曲ではどれも彼女
に合うものが無かったので、3月頃だったと思いますがライブ出演を承諾して
頂くと同時に楽曲制作もお約束して制作に取りかかりました。

実は密かにジャケットが2パターンあるという設定にしたのですがyukkyさん
メインの1~2曲目に合わせた夜景を見下ろす画のものと、3曲目の柔らかな曲
に合わせたお花畑の画のものです。
全国的には後者のジャケットで流通していますが先にも紹介させて頂いたディス
クブルーベリーさんや手売りでは前者のジャケットでも販売しております。
(ちなみに4曲目のイメージはありません。)

CDが完成したのがライブの3~4日前で、もうてんてこ舞いでした。
4~6月に4曲制作+既存曲も合わせた全パートの譜面制作。それにジャケット
のデザインから歌詞カード、プレス、流通手配なども全部自分でやっているの
で、これには僕もかなり参りまして実際ライブの当日も疲れと緊張のせいで
リハーサルの時から間に合って良かったという安堵の思いと共に涙が止まりま
せんでした。ライブ中にもほろりとしてしまいましたがもう恥ずかしいとか
そういうのはなくて、良くも悪くも周りを見ない性格が出てしまったのだと
思います。
引き続き拙い文章ではございますがセルフライナーの方を書き綴らせて
頂きます。


――――
M-01 [蓮花]

上記にもありますがこの曲と2曲目の「流る星」はyukkyさんに向けて作った
ものです。1作目から続くスモールガーデンのイメージとyukkyさんのそれは
かなり違う所があるのでお互いが歩み寄って出来た共作だと言えると思います。
yukkyさんの声は明るく中高域が通るので、その声質に詩の静粛な感じをぶつ
けて中和してみようと思って作り始めた覚えがあります。

楽曲の雰囲気は16ビートでシックなハーモニーを奏でていますが特に元ネタ
とかは無いです。かろうじて僕の好きなpagesの[I Get It From You]の2コー
ラス目の雰囲気にも若干近いかなという感じで他の要素は冨田恵一さんワーク
スの影響が強いかなと自分では思っています。
音楽的な話ですがこの曲では音の4度重ねを多用していまして、そこに壮言さ
や幻想さなどが出せたかなと思います。気になった方はユーチューブなどで
4度和音の実演動画のハーモニーを聴いてみてください。面白いと思います。

歌詞の内容については個々で楽しんで頂ければ良いかなと思っています。
僕としてはタイトルの蓮花と曲の後半に出てくる「輪廻」という言葉を盛り
込む事によって仏教のテイストを出せたらと思って書きました。サビの「夢
見るあなたを」というのは1stアルバムの「靄(もや)」にも出てくる言い回し
なのですが、全ての事象はほんの一時の夢や幻であって現実そのものでは無い
という原始仏教の教えをこの一言に込めたつもりでおります。綺麗なものが
綺麗なのは自身の都合で心にその様に描いているのであって実際はそうでは
無いという事なのです。(僕は原始仏教信者なので言い切ってしまいますが。)

これは音楽の話ではありませんが僕は静か動かでいうと間違いなく「静」です。
動が嫌いな訳ではないですが周囲から無意味に掻き立てられる前進や成長、
競争や射幸心の煽りなどには心が締めつけられる様な息苦しさを感じる事が
あります。自分にとって必要以上の「動」は全く必要ではないと思っている
ので逆に動が嫌いだという負の感情が溢れすぎない様に適度に情報は遮断して
います。
知らず知らずのうちにマスコミュニケーションによる大きな流れに取り込まれ
ないように自分の意識を大切にする尊さを失ってしまっている人の多さに「憂い」
を感じるのですが、想いというものは美しくも儚いものではないかと、そのよ
うな情景を歌にしてみました。


――
M-02 [流る星]

これは空を飛んでいるようなイメージで作った曲です。
7月のレコ発ライブに合わせた事もあって夏の雰囲気も入れてみたつもりです。
出過ぎず、弾け過ぎず、飛び過ぎないソフトな感じに出来たかなと思いますが
いかがでしょうか。
本来、というと語弊がありますがこの曲はスモールガーデンの作品というより
はyukkyさんとスモールガーデンではない小園自身の合作という見方の方が
しっくりくる側面を僕も感じています。(リスナーより同じような意味合いの
事を言及されましたので)
そのような楽曲をスモールガーデンのアルバムに入れるなと言われそうですが、
これまた僕の中ではスモールガーデンとして背伸びをしたシティポップAORと
いう意味合いも込めての作品でもあり、これはこれで良いとは思っています。
もっとyukkyさんに合わせた方がキャッチーな楽曲になったかもしれないので
すがそれではコラボレーションにはならないので、その均衡の為に自分色も
程々に出したのが[蓮花][流る星]だと思います。

楽曲のAメロの雰囲気は曲名は忘れてしまいましたがed mottaの曲のリズムの
印象があったと思います。その後は流れに任せて作りました。
歌詞では1番終わりの「流る星」の部分だけ最後まで決まらずにいました。
「流れ星」だとなんか普通だなと思ってしまったので「流る(ながるる)」と
いう言い回しを「ながる」に変えてスモールガーデンらしさを出してみました。
(スモールガーデンらしさとは日本独特の言い回し、大和言葉や言語文化を音楽
の中に取り入れるというような感じの事です。)

空を飛ぶといえば数年前に一度、スカイダイビングを経験したのですが思って
いたよりもとても楽しかったのでいつか免許をとって単独ジャンプをやってみた
いと密かに想いを馳せています。


というわけでお読み頂きましてどうもありがとうございます。
次回は3~4曲目のライナーノーツ、「歌曲作品集[小園]」のコンセプト、制作
経緯について書きたいと思います。